便秘の兆候を理解しよう
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どんな年齢であれ、便秘の最も多い原因は、食物繊維不足で水分を十分にとらない食事である。
しかし齢をとるにつれ、別の要因が働くようになってくる。
以下にいくつかの例をあげてみよう。
体調管理の重要性がひろく認識されるにつれ、便秘の原因となる運動不足ははるかに少なくなってきた。
規則的な運動は、腸のぜん動をうながすことで便秘を予防する。
人は齢をとるほど薬をたくさん飲む傾向があるけれども、そうした薬物の多くは便秘をひきおこしうる。
よく知られる悪玉は、鉄剤(便を硬く黒色にする)、カルシウム剤、利尿剤、そして抗うつ剤(とくに「エラビル」をはじめとする三環系抗うつ剤)その他の、腸壁の筋肉の収縮性を減じる働きをもつ気分薬だ。
ほかにも以下の薬剤がある。
ビンクリスチンやビンブラスチンなど、自律神経系の機能を阻害する化学療法の薬剤。
鎮痛剤(とくにコデインなど腸の働きを鈍らせる麻酔薬を含むもの)。
制酸剤、とくに「ぺプトビズモル」や、アルミニウムを含むもの(ラベルを見てそうした成分が含まれていないか調べること)。
非ステロイド系抗炎症剤(たとえばイブプロフェン)はプロスタグランジンの働きをさまたげることで腸の収縮を抑える。
カルシウム括抗薬、とくにべラバミル、ニフェジピン、ジルチアゼム (どれも腸の平滑筋の運動性を減じる)。
高血圧の治療に使われるアンギオテンシン転換酵素阻害薬(たとえばカブトプリル [「カポテン」])は腸の筋肉がしかん弛緩するのをさまたげる。
そのほかにもいろいろある。
もしもこうした薬剤をとりはじめてから排便習慣に変化があった場合は、医師に相談すること。
うつは高齢者にとって深刻な問題となりうるが、便秘もその結果のひとつだ。
うつ状態におちいった人は排便の衝動を無視したり、摂取している抗うつ剤の影響で腸の働きが鈍くなったりする場合がある。
なんらかの理由、たとえば食欲の減退やジギタリスなどの薬の副作用のために食べる量が減ることも、便秘の原因となりかねない。
糖尿病は、とくに血糖値が十分にコントロールされていないと、人体のおもな2つの場所、つまり血管と神経に大きな損傷をあたえる。
血管にもたらされるのは動脈硬化である。
そして神経におよぶ合併症は「自律神経失調症」と呼ばれ、腸の自動的な運動をつかさどる自律神経の機能がそこなわれる(筋肉を収縮させ、老廃物を外へと送り出すための刺激がうまく作用しなくなるということだ)。
その結果、腸の働きが鈍り、便秘になる。
糖尿病はまた、別のかたちでも便秘をひきおこす。
血糖値が高いとき、腎臓はよぶんな糖分を尿といっしょに排出しようとする。
だがかたまりでは外に出すことができないので、糖分を溶かすための水が必要になる。
この吸収によって水分が減るために、便は乾いて硬くなり、外に出すのがむずかしくなるのだ。
甲状腺は代謝をつかさどるので、その働きが鈍くなると、わたしたちの体の機能すべてが低下する。
なかでも便秘は甲状腺機能低下症のきわだった症状だ。
この病気の診断は、とりわけ症状が微妙なときなどに、誤って下されることがきわめて多い。
甲状腺ホルモンはごくかんたんに補えるものなのだが、そのホルモンが不足しているせいで、疲れ、体重超過、だるさ(そして便秘)に悩まされている人は何百万人にものぼるのではないだろうか。
憩室症および憩室炎は、便秘の原因であり、また結果でもある。
憩室とは腸の壁から外側へとびだした指のような袋だ。
便秘の例が多く、また繊維の少ない食事をとる人々および文化では、とくによく見られる。
力んで硬い便を出すことは腸内部の圧力を増し、その壁がつきだしてくぼみ(憩室)ができる原因になる。
こうしたくぼみが感染していなければ、その状態は憩室症と呼ばれる。
ところが炎症を起こしたり感染したりすると、その疾患は憩室炎と呼ばれる。
特徴的な症状は痛み、微熱、ときに出血、それにまたしても便秘だ。
以前にはこうした炎症が起こるのは、種子や食べ物の小さな粒が憩室に埋めこまれ、刺激するためだと考えられていた。
それで医師は患者たちに、やわらかいものを食べ、種子を避けるようにアドバイスしてきた。
だがこれは誤りで、現在の医師たちは正反対の指示をしている。
この病気の隠れた原因である便秘を予防するために、繊維の豊富な食事を心がけることだ。
脳卒中のほか、その他の神膵的な異常、たとえばとくに高齢者に多いパーキンソン病や、ふつうそれよりも若い人に起こる脊髄損傷、多発性硬化症などは、便秘あるいは失禁をひきおこしうる。
便秘のほうは、脳の損傷のために「さあ行け」という信号が間違って解釈されたり送られなかったりする結果である。
失禁、つまり腸がコントロールできない状態は、便が出ないように閉じこめておく肛門括約筋の神経がうまく機能しないときに起こる。
神経学的な問題をかかえ、衰弱したり麻痔したりしたままの高齢者は、ほとんど動きまわることができない。
いつもじっとしていると、腸はあまり正常に動かなくなる。
だから医師たちは、なんらかの理由で病院のベッドで寝たきりの患者に、便をやわらかくする薬をあたえるのだ。
慢性的な緩下剤の濫用。
浣腸や緩下剤を使って(なにがなんでも)通じをつけなくては気がすまないという人は、しまいには無理強いしないと腸が働かなくなってしまう。
時間がたつはどにそうした刺激の必要性が増し、便秘になる回数も増えるのだ。
全身的な衰弱が起こると腹筋も効率的に便を排出できなくなってしまう。
とくに高齢者にはあてはまることだ。重い肺気腫にかかった患者でもやはり腹筋は弱くなる。
ひんぱんに移動し、急いで食事をする習慣をもつ人は生理的要求に気をとめるのがむずかしく、慢性的な便秘をひきおこすうえ、結腸内の圧力が高まるせいで、憩室症になりやすい。
便秘はふつう、その人のライフスタイルの改めるべき面がもたらす結果だが、もっと深刻な理由から、毎年10万人の人が便秘にまつわる問題で入院している。
急に便秘が始まった人がなにより心配するのは、物理的な閉塞をひきおこす腸の腫癌だ。ぜんぶの腫瘍が悪性というわけではない。
多くは良性のポリープだが、大きくなると、閉塞の原因になりうる。
以下にあげるような状態のときは、かならず腸の腫瘍を疑ってみる必要があるだろう。
便の太さに変化が認められる(これは閉塞した箇所を通ったために細くなったと考えられる。
便に血がまじっている)これはいつも肉眼で見えるとはかぎらない(だから医師は便の検体を化学検査にかけるのだ)。
硬い便がたまに出る状態と下痢とが交互にくる。
鼓脹、腹痛、断続的なさしこみ、排便のあと残便感がある。
閉塞の原因となるのは腫瘍ばかりではない。開腹手術や腹部への放射線照射のあとの疲痕組織が結腸の周囲にできて、その正常な機能をさまたげる場合もある。
こうした組織は外科手術でとりのぞく必要があるかもしれない。
過敏性腸症候群(IBS)はふつう若いうちに始まるが、高齢者を冒す場合もある。
IBSの人たちはさまざまな腸にまつわる症状をかかえていて、最も多いのはさしこみ、下痢、ガス、鼓張といったものだ。
ところが便秘にも悩まされることが多い。
IBSのもどかしい点は、これらの症状を評価するどんな検査をしてもたいてい結果が正常であるということで、こうした気の毒な人たちはみな苦しみながらもほとんど同情を得られないのだ。
医師がせいぜいIBSの患者に伝えられる心強い事実は、この腸に起こる症候群は炎症性腸疾患(IBD)とは違うということぐらいだろう。
治療としては、食物繊維をたっぷりとること(とくに便秘がおもな症状の場合)、ミルクと乳製品を避けること(IBSの患者の多くは乳糖不耐症であるからだ)、そしてそれぞれの症状への対症療法である。
残念ながら根本的な治療法は存在しない。
この障害があなたの人生を短くすることはないが、つらいものにする可能性はある。
炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎か、クローン病のどちらかをさす。
先に紹介したIBSと混同してはいけない。
この二つの病気は、周期的な下痢をはじめとして共通する症状が多いけれども、IBSが命にかかわることはまずないのにたいし、IBDにはそのおそれがある。
IBDにかかると、おそらく自己免疫系の機能不全のためだろうが、結腸が慢性的に炎症を起こす。
IBDとおなじでおもに若い人を冒すものだが、齢をとってからかかることもある。
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