前立腺がんについて
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前立腺がんがアメリカ人男性のがんによる死者数に占める割合は、肺がんについで2番目である。
前立腺がんはほかのタイプのがんとは違い、早期の治癒できる段階ではふつう症状が外にあらわれない。
しかし一度がんがひろがると、冒された器官に痛みが生じる。
この悪性腫瘍はとりわけ骨に影響をおよぼしやすく、背骨に関節炎とは違う正体不明の痛みがあった場合、その原因となっていることが多い。
自覚症状の出る前に 早期の前立腺がんはふつう症状があらわれないので、自分から探さなくてはならない。
前立腺がんの診断は、通常は医師の手袋をはめた指と、血液が必要になる。
多くの場合医師の指は、硬く不規則なこぶのあるがん性の腺を探りあてる(正常な前立腺はやわらかくなめらかである)。
PSA(前立腺特異抗原)検査は、前立腺だけがつくりだすこのタンパク質の血中濃度を測定するものだ。
PSAの数値はがん患者のほか、前立腺肥大や前立腺に感染症を起こしている場合でも高くなる。
現在、泌尿器科医のあいだでは、PSAの数値が高い人のうち前立腺がんがある人は30パーセントにすぎないのだからこの検査は不要だ、と考える人が増えている。
また実際に前立腺がんがある人の3パーセントは、PSA値が正常である。
この検査については、主治医と相談されるとよいだろう。
前立腺の大きさや硬さになんらかの疑いがあるとき、あるいはPSAが疑わしいときには、経直腸的超音波検査をおこなう。
直腸にさしこんだ器具で前立腺に音波を直接当て、そのエコー・パターンをコンピューターで映像化し、異常がないかどうか調べるのだ。
疑わしい発見があれば、通常は前立腺の生検がおこなわれる。
最近になって医師たちがもちいているPSAの改良版は、PSAタンパク質の遊離した一部もいっしょに測定するというものだ。
遊離したPSAが全体の25パーセントより少なければ、がんの可能性は高くなる。
この検査は、まだどちらともつかない患者に針による生検をおこなう必要性を減らしてきた。
生検はがんが存在しているかどうか、それが攻撃的か成長が遅いかを教えてくれる。
その結果と患者の年齢、全般的な健康状態を勘案して、どんな治療をほどこすかが決められる。
治療法は選べる
前立腺がんの診断は比較的やさしい。
どのような治療がベストかを決めるほうが大きな問題だ。
その決定は、腫瘍の大きさ、段階(前立腺の境界を越えてひろがっているかいないか)、細胞の活動ぶり(比較的不活発か、それとも急速に増殖しているか)、あなたの年齢(高齢であるほど治療は慎重におこなうべきだ)によるが、
ほかのなににもおとらず重要なのは、ライフスタイルと、あなた自身の好みや意志である。
治療の内容を決めるにあたっての大きな問題は、がんがまだ小さくて早期の段階にあるときに生じる。
以下に選択肢のいくつかをあげてみよう。
ほうっておく
年齢が70代もしくは80代で、がんが小さく攻撃的でないなら、あなたが生き延びられる見込みは高い。
多くの医師や高齢の患者たちが(とりわけがん以外にも重い病気をわずらっている場合)、外科手術や放射線よりも、この「がんとともに生きる」道を選ぶ(「がんとともに生きる」にはある程度の心構えが必要だが、ヨーロッパ、とくにスウェーデンではこうした腫瘍へのごく一般的な対処法である)。
いったんこの道を選ぶと決めたからには、定期的かつひんぱんにかかりつけの泌尿器科医の診察をうけて、がんが不活発な状態にあることを確認する必要があるだろう。
あなたが若く(たとえば70歳以下で)よい健康状態にあるなら、がんとその周辺の組織を外科的にとりのぞく(前立腺全摘出術と呼ばれる)のが最良の選択だろう。
腫瘍がかなり大きい場合は手術できるとはかぎらないし、すでにひろがっていれば確実にむりである。
外科治療の利点は、成功すればがんとすっぱり手を切れるということだ。
不利な点はその副作用にある。
この手術はつねにインポテンツという結果を招いていたが、それは手術のあいだに、前立腺の近くの勃起をつかさどる神経が除去されるか傷つくかしてしまうためだった。
しかし、ジョンズ・ホプキンズ大学のパトリック・ウオルシュ博士によって開発された「神経を温存する」技術を使えば、40〜70パーセントの男性が勃起能力を保つことができる。
それでもインポテンツのおそれがすっかり消えるわけではない(この合併症を治療する方法はいくらもある。最も新しいのがバイアグラだ)。
術後のもうひとつの合併症は、失禁、つまり尿をためておけなくなることである。
たいていは数週間でふたたびコントロールできるようになるが、100パーセントとはかぎらない。
最後にもうひとつ、根治的な前立腺全摘出術はかんたんな手術ではなく、そしてこれはどんな手術にもあてはまることだが、あなたが麻酔に耐えられないおそれもある。
あるいは輸血が必要になるかもしれない。
血栓症、感染症、肺炎を起こすかもしれない。
はじめから心臓の状態が悪化していれば、心臓発作におそわれるかもしれない。
だからこの方法をとろうとするなら、先にまず入念な検査をおこなうことだ。
適切に選ばれた患者の大多数は首尾よく手術に耐えられるし、長期的な結果もかんばしいものとなる。
腫瘍がまだ局所的であり、それでも治療を要するが、あなたが手術をしたくない、あるいはがんが摘出できないという場合には、放射線療法がある。
高エネルギーの放射線はがん細胞を殺し、腫瘍を縮小させる。
最も単純な治療法だ。
もしうまくいけば、その後10年間の生存率と副作用は外科手術のそれに匹敵する。
もし放射線を選ぶなら、かならず前立腺の放射線照射に習熟した専門家から治療をうけるようにすること。
前立腺がんの放射線治療には二種類あり、ときには併用されることもある。
二つのうちひろく使われているのは外部放射線照射だ。
標準的な療法よりも三次元等角外部放射線照射がおすすめです。
これはコンピューターでがんの位置を正確に割り出して多数のX線ビームを直接当てるという、より強力な治療法である。
この方法だと、標準的放射線照射にくらべて炎症、下痢、インポテンツ、失禁といった結果をともなうことなく、大量の照射が可能になる。
6週か7週のあいだ、週に5日診療所に通い、一日に1回、15分ほどつづけておこなわなくてはならない。
もうひとつは内部放射線照射で、超音波の誘導によって放射性物質の小片をがんに冒された前立腺のなかに直接、あるいはその周辺に埋めこむものだ。
この方法は近接照射療法と呼ばれ、1時間から2時間の手術をともなう。
大量の放射線を照射する高エネルギーの小片を入れたあと、数日後にとりだすか、あるいはこちらのほうが多いけれども、低エネルギーの小片を永続的に埋めこむ場合もある。
内部放射線を選んだからといって、心配にはおよばない。
ほかの人に放射線をまき散らすわけではないのだ。
この療法の成功の鍵となるのは小片を正確な位置に埋めこむことで、それには技術と経験を要する。
うまくいけば副作用は最小限にとどめられる。
多くのがんセンターでは、患者によって外部放射線と内部放射線を組み合わせて使っている。
もしがんがひろがっていれば、あなたの選択肢はかなり限られてくる。
この段階での治療は、あなたの痛みを抑え、悪性腫瘍がこれ以上散らばるのを遅らせる方向で進められる。
通常はこの段階で腫瘍を宿している骨への直接的な放射線照射がおこなわれ、さらに抗テストステロン性のホルモン剤が投与されるだろう。
前立腺がんはある程度この男性ホルモンに左右されるからだ。
こうしたホルモン剤(一ヶ月か3ヶ月おきに注射され、しばしば毎日の経口薬で補われる)が発見される以前は、
テストステロンの生産を抑える唯一の方法は、手術で畢丸をとりのぞくことだった。当然ながらこれはいまではずっと少なくなっている。
ホルモン療法は通常、性衝動の減退や胸が大きくなるといった女性化の副作用をともない、2、3年後には効果が薄れてくることが多い。
治療についてひとこと。
現在、アメリカの泌尿器科医のなかには、前立腺がんの大半は進行が非常にゆっくりしていて患者はたいてい他の原因で亡くなるので、注意深く観察しながらほうっておくことをすすめる人たちもいる。
だが、ある患者の前立腺がんがどのような進行を見せるかだれにも予測できない以上、わたしとわたしの患者の大半は運を天にまかせる気にはならない。
患者たちはがんにかかっているとわかった場合にはほぼかならず治療を望む。
たとえ統計がどうであれ、だ。
しかし、あなたがどうするかは、主治医と相談のうえ、ご自分で決めるべきだろう。
さらに新しく実用化されつつある技術に、免疫システムを刺激することで、がんを抑制しつづけるというものがある。
前立腺がん細胞にたいする特定の抗体が注射され、理論的にはその悪性の組織に一直線におそいかかっていくのだ。
予防は最善の治療である。
保証のかぎりではないけれども、前立腺がんにかかる危険は、低脂肪で、野菜やトマト(リコピンが豊富に含まれているため)、全粒の穀物、果物、大豆をたっぷりとる食生活によって減らすことができるとわたしは考えている。
多くの医師の信じるところでは、この病気がアジアでは欧米よりも少ない理由はこうした食生活にあるのだ。
中国人や日本人の男性が生国を離れてアメリカに移住し、以前の食習慣を捨ててこの国の食事をとるようになると、前立腺がんの発症率はアメリカ人のそれにおとらず高くなる。
最近の調査では、セレンの血中濃度が高い人は、低い人にくらべて前立腺がんの発症率が低いという。
だからセレン剤を摂取するようにとアドバイスするのはまだ早すぎるだろうが、将来さらに信頼できる実験結果が出るかどうかに目を光らせておく必要はある。
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