味覚・嗅覚障害
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食べ物の味が変わった
高齢者は味やに票にたいする鋭さが衰えるので、味を濃くしがちだ。
高齢者は若い人とくらべて、平均すると、食べ物にくわえる塩の量が11倍、砂糖の量が3倍という調査結果がある。
アメリカには味覚や嗅覚になんらかの異常をかかえている人が200万人以上おり、その大多数が高齢者である。
そのほかにも、味覚が変だとわざわざ医師に訴えていかない人が数えきれないくらいいる彼らはどんな食べ物にも塩をかけてすましているのだ。
味覚と喚覚は30歳を過ぎたころから徐々に衰えはじめる。
その変化も最初のうちは気づかないくらいなものだが、60歳近くなると、たいてい味覚や喚覚の鋭さが衰えたことを自覚する。
70歳になるころには、食べ物の味がもうそれまでとおなじでなくなる(女性のほうが、その時期が遅く、程度も小さい)。
食べ物の味だけではない。
香りもそれまでほど強く感じなくなる。
どのにおいにたいしても喚覚が低下するわけではないので、気づくにおいと気づかないにおいが出てくるかもしれない。
味覚と嗅覚の働き
味とにおいを左右するのは、少なくとも三つの異なる相互に作用する化学的感覚である。
わたしたちは鼻の奥の嗅上皮という小さな組織で、においを感知し識別する。
この嗅上皮は一億の喚細胞からなっていて、一万種類の異なる細胞がある。
香りの区別がつくのは、この細胞が種々さまざまだからである。
この嗅細胞は、においがそこに達すると、それを処理して喚神経へ送り、喚神経がさらに脳へ伝える。
味覚のメカニズムはこれとはまた違う。
唾液が食べ物を分解すると、放出された分子が、口と喉にある味蕾をつくる9000個の細胞へ移動する。
味蕾の多くは目に見える小さな突起状で舌に散らばっており、ひとつの味蕾は100個の細胞からなる。
この味蕾が甘味と塩味(主として舌先で感じる)、酸味(舌の両側で感じる)、苦味(だいたい舌の奥で感じる)の四つの基本味を感知・識別し、この情報を特殊な味覚線経が脳へ伝達する。
そのほかに、共通化学感覚という第三のメカニズムがあり、わたしたちが口中の物質や鼻のなかのにおいがもつヒリヒリする性質を感じとるのを助ける。
トウガラシのピリッとからい刺激、メントールのすっとする刺激、アンモニアのつんと刺すような刺激を伝えるのが、この第三の感覚である。
これは目、口、鼻、喉の湿った表面にある何戸という神経末端からなる。
この情報を別の神経が脳へ伝達する。
味覚障害や喚覚障害にはさまざまな程度がある。
喚覚を完全に失ってしまうこと(無喚覚症)もあれば、一部だけ失うこと(嗅覚減退)もある。
味覚もおなじで、完全に失う無味覚症と一部だけ失う味覚減退がある。
これらの障害には別のかたちのものもある。
異臭症は、実際には存在しないにおいを知覚する嗅覚錯誤をいう。
異臭症の患者は自分のまわりの人がみんな悪臭を放っていると思いこむ。
その味覚版が味覚異常で、食べるものすべてをひどい味だと思う。
これらの「化学的感覚」はどれも大事で、互いにその感覚を高め合い、食べ物のおいしさを最大限に発揮させる。
そのどれかひとつがこわれても、前とおなじ味とは感じなくなる。
喚覚がそこなわれると、食べる楽しみも減る。
無傷の「においを感じとる感覚」が、風味の75パーセントを感じるのである。
自分で納得しなければ気がすまないなら、鼻を押さえ、目を閉じて、だれかに食べ物を口に入れてもらってみるとよい。
おそらくカブとリンゴの区別がつかないだろうし、チョコレートの風味もわからないだろう。
コーヒーを十分に味わうこともできないだろう(コーヒーやチョコレートの風味は、ほかの多くの物質もそうだが、だいたいがその香りで感じとるものだからだ)。
嗅覚を失うと、味蕾がそこなわれていなくても、自分が食べているものを味わうことができない。
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